H21年秋午前試験ポイント問題解説
①テクノロジ系
論理和(∨),論理積(∧),排他的論理和(⊕)の結合法則の成立に関する記述として,適切な組合せはどれか。
(A∨B)∨C=A∨(B∨C) | (A∧B)∧C=A∧(B∧C) | (A⊕B)⊕C=A⊕(B⊕C) | |
ア | 必ずしも成立しない | 成立する | 成立する |
イ | 成立する | 必ずしも成立しない | 成立する |
ウ | 成立する | 成立する | 必ずしも成立しない |
エ | 成立する | 成立する | 成立する |
答え
エ
結合の法則をもちいます。
結合法則は
→(A・B)・C=A・(B・C)
→(A+B)+C=A+(B+C)
②プログラミング
Linuxシステムにおいて,静的ライブラリと比較した場合の共有ライブラリの特徴はどれか。
ア:実行可能ファイルのサイズが大きくなる。
イ:実行時のメモリ使用効率が良い。
ウ:ライブラリの修正後,それを利用するプログラムの再コンパイルが必要である。
エ:リンク時のオーバヘッドが小さい。
答え
イ:実行時のメモリ使用効率が良い。
共有ライブラリ(Shared library):メモリ上にされたコードを複数のアプリケーションが同時に使用できるようにしたもの。
静的ライブラリ:アプリケーションのコンパイル時にライブラリをリンクさせ、プロセスごとにライブラリをメモリ空間に展開する。
③その他の言語
XML文書を別の文書構造をもつXML文書やHTML文書などに変換するための仕様はどれか。
ア:CSS
イ:DTD
ウ:XLink
エ:XSLT
答え
エ:XSLT
CSS(Cascading Style Sheets):HTMLの要素をどのように修飾して表示させるかを定義する文書。
DTD(Document Type Definition):SGML・HTML・XMLの構文を定義するスキーマ言語。
XLink(XML Linking Language):XMLドキュメント同士のリンクを定義するための仕様。
XSLT(Extensible Stylesheet Language Transformation):XMLをその構造を基に、ほかのXMLやHTMLに変換するための一種のスクリプト・言語仕様。
④メモリ
キャッシュメモリにおけるダイレクトマップ方式の説明として,適切なものはどれか。
ア:アドレスが連続した二つ以上のメモリブロックを格納するセクタを,キャッシュ内の任意のロケーションに割り当てる。
イ:一つのメモリブロックをキャッシュ内の単一のロケーションに割り当てる。
ウ:メモリブロックをキャッシュ内の任意のロケーションに割り当てる。
エ:メモリブロックをキャッシュ内の二つ以上の配置可能なロケーションに割り当てる
答え
イ:一つのメモリブロックをキャッシュ内の単一のロケーションに割り当てる。
ダイレクトマッピング方式:主記憶のアドレスとキャッシュ内の格納ブロックは一意に対応する。
フルアソシアティブ:メモリブロックをキャッシュ内の任意のロケーションに割り当てる。
セットアソシアティブ:メモリブロックをキャッシュ内の二つ以上の配置可能なロケーションに割り当てる
⑤システムの構成
現状のHPC(High Performance Computing)マシンの構成を,次の条件で更新することにした。更新後の,ノード数と総理論ピーク演算性能はどれか。ここで,総理論ピーク演算は,コア数に比例するものとする。
〔現状の構成〕
一つのコアの理論ピーク演算性能は10GFLOPSである。
一つのノードのコア数は8個である。
ノード数は1,000である。
〔更新条件〕
一つのコアの理論ピーク演算性能を現状の2倍にする。
一つのノードのコア数を現状の2倍にする。
総コア数を現状の4倍にする。
ノード数 | 総理論ピーク演算性能(TFLOPS) | |
ア | 2000 | 320 |
イ | 2000 | 640 |
ウ | 4000 | 320 |
エ | 4000 | 640 |
答え
イ
更新条件
A:一つのコアの理論ピーク演算性能は2倍の20FLOPS
B:一つのノードが持つコア数は2倍の16個
C:現状の総コア数は、ノード数1000×コア数8個=8000個なので、更新後の総コア数は32000
更新後のノードは総コア数を16で割った2000となる
更新後の総理論ピーク演算性能は、総コア数32000に1コアの論理ピーク演算20GFLOPSを乗じた640000GFLOPSとなり、640TFLOPSとなる。
⑥システムの評価指標2
オンラインシステムの端末数と平均応答時間の関係を表したグラフとして,適切なものはどれか。ここで,一定時間内に1台の端末から到着する平均トランザクション数は一定とする。
ア:端末数が最初とある程度増えてから一気に平均応答時間が上がる。
イ:端末数と平均応答時間が比例している
ウ:あるていど端末が増えると平均応答時間が一定になる
エ:端末数ががある程度増えてから一気に平均応答時間が上がる
答え
エ:端末数ががある程度増えてから一気に平均応答時間が上がる
待ち行列問題にて、1台の端末から到着する平均トランザクション数は一定なため、端末数の増加に比例して平均到着率が増加していく。
一方オンラインシステムの平均サービス率は一定のため、
利用率=平均到着率÷平均サービス率
のため、端末数が増加するとシステム利用率も増加する。
⑦オペレーティングシステム
制御系の組込みシステムで使用されるリアルタイムOSの特徴として,適切なものはどれか。
ア:MMUによって仮想記憶制御を行い,データの仮想化を行わなくてはならない。
イ:タスクの生成は主に静的に行う。
ウ:ファイルマネージャ及びメモリプロテクション機能は必須である。
エ:ラウンドロビン方式のスケジューリングを用いてシステム全体のスループットの向上を図る。
答え
イ:タスクの生成は主に静的に行う。
リアルタイムOS:処理時間を重視し、処理の時間的制約を守る必要のあるリアルタイムシステムのために開発されたOSのこと
MMU(Memory Management Unit):メモリ管理ユニットのこと
⑧オペレーティングシステム2
ア:リアルタイムOSのマルチタスク管理機能において,タスクAが実行状態から実行可能状態へ遷移するのはどの場合か。
タスクAが入出力要求のシステムコールを発行した。
イ:タスクAが優先度の低いタスクBに対してメッセージ送信を送った。
ウ:タスクAより優先度の高いタスクBが実行状態となった。
エ:タスクAより優先度の高いタスクBが待ち状態となった。
答え
ウ:タスクAより優先度の高いタスクBが実行状態となった。
リアルタイムOSでは、その時間制約を守ることが最優先される特徴からタスクのスケジューリングに静的有線方式が採用される。
⑨ハードウェア
産業機器の機械制御装置として使われるPLC(Programable Logic Controller)の記述として、適切なものはどれか
ア:自動制御であり,偏差の比例,積分及び微分の3要素で制御する。
イ:主としてラダー図を使ったシーケンスプログラムによって制御する。
ウ:電圧及び電流のアナログ信号をディジタル信号に変換する。
エ:リレーシーケンス回路のハードウェアによって制御する。
答え
イ:主としてラダー図を使ったシーケンスプログラムによって制御する。
PLC:リレー回路の代替装置として開発された制御装置のこと。プログラマブルコントローラ(一般的にはシーケンサ)と呼ばれ、以前はハードウェア制御であった部分をソフトウェアによってできる。
PID制御:自立制御であり、偏差の比例、積分及び微分の3要素で制御する。
A/D変換器:電圧及び電流のアナログ信号をディジタル信号に変換する。
ハードウェア制御:リレーシーケンス回路のハードウェアによって制御する。
⑩ハードウェア
16進数 ABCD1234 をリトルエンディアンで4バイトのメモリに配置したものはどれか。
ア | 12 | 34 | AB | CD |
イ | 34 | 12 | CD | AB |
ウ | 43 | 21 | DC | BA |
エ | AB | CD | 12 | 34 |
答え
イ
エンディアン:バイト単位のデータをメモリに記録するときの方式。
ビッグエンディアン:データの上位バイトから順に並べていく方式。
⑪ヒューマンインタフェース技術
Webアクセシビリティに配慮した画面設計のうち,適切なものはどれか。
ア:head要素の中のtitle要素を同一にして,各ページに同じ表題を付ける。
イ:確認は緑,取り消しは赤などのように,共通に使用されるボタンには色だけで判別できるようにする。
ウ:仮名入力欄の前には,"フリガナ(カタカナで入力)"のように,仮名の種類も明記する。
エ:ハイパリンク及びボタンは,操作性を良くするために隣り合うものとの間隔を狭くとる。
答え
ウ:仮名入力欄の前には,"フリガナ(カタカナで入力)"のように,仮名の種類も明記する。
Webアクセシビリティ:年齢や身体的制約・利用環境などにかかわらず、Webサイトにアクセスできサイト内を利用できるように配慮する設計方針のこと
⑫インタフェース設計
各種コードの特徴を記述した表中の項目a~cに入るコード種別の組合せとして,適切なものはどれか。
a | b | c | |
長所 | 桁数が少なく、発生順にコードを付ける場合、追加が容易 | 少ない桁数で多くのグループ分けが可能 | データ項目のs構成の分類基準が明確で、各桁が分類上の特定の意味を持っているのでわかりやすい |
短所 | 分類が分からない | データを追加する場合や件数が多い場合に不便 | 桁数が大きくなりやすい |
適用領域 | 分類基準が確立しにくいものに利用する | コード桁数の制限下でグループ分けする場合に利用する | 分類基準が明確である場合に利用できる |
a | b | c | |
ア | 区分コード | 桁別コード | 順番コード |
イ | 桁別コード | 順番コード | 区分コード |
ウ | 順番コード | 区分コード | 桁別コード |
エ | 順番コード | 桁別コード | 区分コード |
答え
ウ
順番コード:通し番号でつけていく方法。コードの桁数が少なくなる利点があるが、コードから対象がイメージしにくい
区分コード:対象をいくつかのグループに分け、その中で順番コードを付ける方法
桁別コード:桁別に大分類・中分類・小分類などにわけて表現する。桁数が多くなるが、コードから対象がイメージしやすい
⑬マルチメディア技術
コンピュータグラフィックスの要素技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア:アンチエイリアシングは,周囲の画素との平均値演算などを施すことで,斜め線や曲線のギザギザを目立たなくする。
イ:メタボールは,光の相互反射を利用して物体表面の光エネルギーを算出することで,表面の明るさを決定する。
ウ:ラジオシティは,光源からの光線の経路を計算することで光の反射や透過などを表現し,物体の形状を描画する。
エ:レイトレーシングは,物体を球やだ円体の集合として擬似的にモデル化する。
答え
ア:アンチエイリアシングは,周囲の画素との平均値演算などを施すことで,斜め線や曲線のギザギザを目立たなくする。
アンチエイリアシング(anti-aliasing):周囲の画素との平均値演算などを施すことで、斜め線や曲線のギザギザを目立たなくする。
ラジオシティ:光の相互反射を利用して物体表面の光エネルギーを算出することで、表面の明るさを決定する。
レイトレーシング:光源からの光線の経路を計算することで光の反射や透過などを表現し、物体の形状を描画する。
メタボール:物体を球や楕円体の集合として疑似的にモデル化する。
⑭マルチメディア技術2
3次元の物体を表すコンピュータグラフィックスの手法に関する記述のうち,サーフェスモデルの説明はどれか。
ア:物体を,引力効果を考慮して球体を変形させることで得られる滑らかな曲線で表現する。
イ:物体を頂点と頂点をつなぐりょう線で表現する。
ウ:物体を中身の詰まった固形物として表現する。
エ:物体をポリゴンや曲面パッチを用いて表現する。
答え
エ:物体をポリゴンや曲面パッチを用いて表現する。
サーフェスモデル:3DCGにおいて表面のみが定義された3次元構造、またはそれらを作成する目的のモデリング体系のこと。ハリボテ
メタボール:物体を、引力効果を考慮して球体を変形させることで得られるなめらかな曲線で表現する。
ワイヤフレーム:物体を頂点と頂点をつなぐりょう線で表現する。
ソリッドモデル:物体を中身の詰まった固形物として表現する。
⑮データベース設計
部品在庫管理台帳における,部品,仕入先,在庫の三つのエンティティの関係をデータモデルとして記述した。エンティティa~cの組合せとして,適切なものはどれか。ここで,1 *は1対多の関連を表す。
部品コード | 部品名 | 仕入先コード | 仕入先名 | 仕入日付 | 仕入価格 | 在庫数 |
001 | R部品 | Z010 | A商会 | 9月1日 | 1500 | 1000 |
001 | R部品 | Z010 | A商会 | 10月15日 | 1400 | 1500 |
002 | S部品 | Z010 | A商会 | 9月20日 | 800 | 500 |
003 | T部品 | Z015 | B商会 | 10月8日 | 1600 | 1450 |
003 | T部品 | Z020 | C商会 | 9月15日 | 1200 | 800 |
1 * * 1
a-------b--------c
a | b | c | |
ア | 在庫 | 仕入先 | 部品 |
イ | 在庫 | 部品 | 仕入先 |
ウ | 仕入先 | 部品 | 在庫 |
エ | 部品 | 在庫 | 仕入先 |
答え
エ
部品表(部品コード、部品名)
在庫表(部品コード、仕入先コード、仕入日付、仕入価格、在庫数)
仕入先表(仕入先コード、仕入先名)
在庫表を間に入れることで、多対多の関係が1対多の関係になり関係データベースで表現することができる。
⑯トランザクション処理
分散トランザクション処理で利用される2相コミットプロトコルでは,コミット処理を開始する調停者(coordinator)と,調停者からの指示を受信してから必要なアクションを開始する参加者(participant)がいる。この2相コミットプロトコルに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア:参加者は,フェーズ1で調停者にコミット了承の応答を返してしまえば,フェーズ2のコミット要求を受信しなくても,ローカルにコミット処理が進められる。
イ:調停者に障害が発生するタイミングによっては,その回復処理が終わらない限り,参加者全員がコミットもロールバックも行えない事態が起こる。
ウ:一つの分散トランザクションに複数の調停者及び参加者が存在し得る。例えば,5個のシステム(プログラム)が関与している場合,調停者数が2,参加者の数が3となり得る。
エ:フェーズ1で返答のない参加者が存在しても,調停者は強制的にそのトランザクションをコミットすることができる。
答え
イ:調停者に障害が発生するタイミングによっては,その回復処理が終わらない限り,参加者全員がコミットもロールバックも行えない事態が起こる。
2相コミットプロトコル:トランザクションをほかのサイトに更新可能かどうか確認する第1フェーズと、更新を確定する第2フェーズに分け、各サイトのトランザクションをコミットもロールバックも可能な中間状態(セキュア状態)にした後、全サイトがコミットできる場合だけトランザクションをコミットする方法。
⑰トランザクション処理2
データベースの障害回復処理に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア:異なるトランザクション処理プログラムが,同一のデータベースを同時更新することによって生じる論理的な矛盾を防ぐために,データのブロック化が必要になる。
イ:システムが媒体障害以外の原因によって停止した場合,チェックポイントの取得以前に終了したトランザクションについての回復作業は不要である。
ウ:データベースの媒体障害に対して,バックアップファイルをリストアした後,ログファイルの更新前情報を使用してデータの回復処理を行う。
エ:トランザクション処理プログラムがデータベースの更新中に異常終了した場合には,ログファイルの更新後情報を使用してデータの回復処理を行う。
答え
イ:システムが媒体障害以外の原因によって停止した場合,チェックポイントの取得以前に終了したトランザクションについての回復作業は不要である。
DBNS:ディスクに対する入出力効率を向上させるために、トランザクションの更新をメモリ上のバッファとログファイルに記憶しておき、一定の間隔ごとにまとめてディスクに反映させる方式をとっている。
⑱通信プロトコル
1000BASE-Tのケーブルに関する制約として,適切なものはどれか。
ア:カテゴリ5又はそれ以上のUTPケーブルを使用する。
イ:短波長レーザ光を使用したマルチモード光ケーブルを使用する。
ウ:長波長レーザ光を使用したシングルモード光ケーブルを使用する。
エ:同軸ケーブルを使用する。
答え
ア:カテゴリ5又はそれ以上のUTPケーブルを使用する。
1000BASE-T:伝送速度1Gbpsを実現する規格で、伝送路としてカテゴリ5(CAT5)異常のUTP(Twisted pair cable)ケーブル内の4体8線のより対線を使用し、各ペアに250Mbpsの伝送速度を持たせることで1Gbpsを実現している。
1000BASE-SX:短波長レーザ光を使用したマルチモード光ケーブルを使用する。
1000BASE-LX:長波長レーザ光を使用したシングルモード光ケーブルを使用する。
1000BASE-CX:同軸ケーブルを使用する。
⑲通信プロトコル
IPネットワークのプロトコルのうち,OSI基本参照モデルのトランスポート層に位置するものはどれか。
ア:HTTP
イ:ICMP
ウ:SMTP
エ:UDP
答え
エ:UDP
UDP(User Datagram Protocol):TCP/IPの通信処理で使われる伝送制御プロトコルのひとつでTCPと同じく、OSI基本参照モデルのトランスポート層に位置する。
HTTP(HyperText Transfer Protocol):WebブラウザとWebサーバ間のHTMLの送受信に使われるプロトコルで、アプリケーション層に位置する。
ICMP(Internet Control Message Protocol):インターネット制御通知のプロトコルで、ネットワーク層に位置する。
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol):メール転送のためのプロトコルで、アプリケーション層に位置する。
⑳ネットワーク応用
図は,既存の電話機を使用した企業内PBXの内線網を,IPネットワークに統合する場合の接続構成を示している。図中のa~cに該当する装置の適切な組合せはどれか。
電話機---------a-----b-----c-----IPネットワーク
a | b | c | |
ア | PBX | VoIPゲートウェイ | ルータ |
イ | PBX | ルータ | VoIPゲートウェイ |
ウ | VoIPゲートウェイ | PBX | ルータ |
エ | VoIPゲートウェイ | ルータ | PBX |
答え
ア
VoIP(Voice over Internet Protocol):IPネットワークで音声伝送を扱う技術の総称で、音声を各種符号化方式で圧縮し、パケットに変換した上でリアルタイム伝送を行うことができる。
PBX(Private Branch eXchange):複数の構内電話機を、公衆電話回線網に接続して使用する際の中継機器のこと。
VoIPゲートウェイ:電話網とIPネットワークの境界に置かれ、音声とIPパケットの相互変換を行う。
ルータ:ほかのIPネットワークとの境界に設置され、パケットのIPアドレスを見て最適な経路に中継する通信装置
㉑情報セキュリティ管理
JIS Q 2001:2001に規定されたリスク算定の定量的評価を,組織のセキュリティ対策の優先度を検討するリスク分析に適用したものはどれか。
ア:過去に発生した被害件数と対策の難易度で評価する。
イ:攻撃に対する対処時間と被害の顕在性で評価する。
ウ:攻撃もとの特定可否と攻撃手法の新しさで評価する。
エ:被害が発生する確率と被害額で評価する。
答え
エ:被害が発生する確率と被害額で評価する。
定量的評価:リスクの大きさを金額で表す評価手法。
定性的評価:ランク付けやレベルなどの金額以外で表す手法。
㉒セキュリティ実装技術
無線LANにおいて,事前にアクセスポイントに登録した端末以外の接続を制限するためのものはどれか。
ア:AES
イ:IEEE 802.11b
ウ:MACアドレスフィルタリング
エ:TKIP
答え
ウ:MACアドレスフィルタリング
MACアドレスフィルタリング:無線LANのアクセスポイントに正当なユーザのMACアドレスを登録しておくことで、正当なユーザ以外のアクセス拒否する機能のこと
AES(Advanced Encryption Standard):アメリカ合衆国の新暗号規格として規格化された共通鍵暗号方式
IEEE 802.11b:IEEEにより策定された無線LAN規格の一つ
TKIP(Temporal Key Integrity Protocol):無線LAN規格で使われているセキュリティプロトコルで、WEPの脆弱性を克服した方式
㉓ソフトウェア方式設計・詳細設計
オブジェクト指向におけるインヘリタンスの説明はどれか。
ア:幾つかのオブジェクトを集めて,これを成分とするオブジェクトを作成する。
イ:オブジェクトのデータ構造や値を隠ぺいし,オブジェクトの外部から直接,内部のデータにアクセスできないようにする。
ウ:基底クラスで定義したデータ構造と手続きをサブクラスで引き継いで使用する。
エ:同一のデータ構造と同一の手続きのオブジェクトをまとめて表現する。
答え
ウ:基底クラスで定義したデータ構造と手続きをサブクラスで引き継いで使用する。
インヘリタンス(継承):オブジェクト指向で上位クラスの属性やメソッドを引き継いだ下位クラスをつくる
集約:いくつかのオブジェクトを集めて、これを成分とするオブジェクトを作成する
カプセル化:オブジェクトのデータ構造や値を隠ぺいし、オブジェクトの外部から直接、内部のデータにアクセスできないようにする
クラス化:同一のデータ構造と同一の手続きのオブジェクトをまとめて表現する
㉔ソフトウェア構築
読み込んだデータが正しくないときにエラーメッセージを出力するかどうかをテストしたい。プログラム仕様書を基に、正しくないデータのクラスを識別し、その中から任意の一つのデータを代表として選びテストケースとする。
ア:原因結果グラフ
イ:限界値分析
ウ:同値分割
エ:分岐網羅
答え
ウ:同値分割
同値分析:ブラックボックステストを行う際に用いられるテストケース設計方法。
原因結果グラフ:入力と出力の理論関係を記号を用いたグラフで表現し、それをもとに決定表(デシジョンテーブル)を作成してテスト項目を作成する手法
限界値分析:同値分析と同じようにデータ範囲を有効値とそれ以上、それ以下で3つに分類するところまでは同じだが、テストケースの値に有効値と無効値を表すところが異なる。
分岐網羅:ホワイトボックステストのテストケース作成法のひとつで、判定条件で真となる場合、偽となる場合をそれぞれ少なくとも1回は実行するようにテストケースを作成する手法
㉕ 開発プロセス・手法
取得者(発注者)と供給者(受注者)の二者間取引を明確化するためのものであり,業務分析,業務設計,ソフトウェアを中心としたシステムの企画,要件定義,開発,運用,保守及びそれにかかわる諸活動を対象としており,国際規格に適合しているものはどれか。
ア:CMMI
イ:PMBOK
ウ:共通フレーム
エ:ソフトウェア保守規格
答え
ウ:共通フレーム
共通フレーム:ソフトウェア産業界においての共通の物差しとなることを目的として作成された規格。
CMMI(Capability Maturity Model Integration):統合能力成熟度モデルと呼ばれ、組織におけるプロセス改善をガイドするモデル。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge):アメリカのプロジェクトマネジメント協会(PMI)が策定したプロジェクト管理のフレームワーク
㉖タイムマネジメント
期間10日のプロジェクトを5日目の終了時にアーンドバリュー分析したところ,表のとおりであった。現在のコスト効率が今後も続く場合,完成時総コスト見積り(EAC)は何万円か。
管理項目 | 金額(万円) |
完成時総予算(BAC) | 100 |
プランドバリュー(PV) | 50 |
アーンドバリュー(EV) | 40 |
実コスト(AC) | 50 |
ア:110
イ:120
ウ:135
エ:150
答え
エ:150
アーンドバリュー分析(EVM:Earned Value Management):プロジェクトにおける作業を金銭の価値に置き換えて定量的に実績管理する進捗管理手法でPV、EV、ACの指標を用いる
PV(Planned Value):プロジェクト開発当初、現時点までに計画されていた作業に対する予算
EV(Earned Value):現時点までに完了した作業に割り当てられていた予算
AC(Actual Cost):現時点までに完了した作業に対して実際に投入した総コスト
5日時点でEVが40万の作業に対してACが60万のためプロジェクト予算の1.5倍の実コストが発生することを表す。そのため、完成時予算100万円の1.5倍となり150万円になる。
㉗資源マネジメント
ソフトウェアの開発規模と開発工数の関係を示すグラフはどれか。
ア:開発工数は開発規模中盤で停滞し、また上昇する
イ:開発工数は開発規模中盤で上昇し、停滞する
ウ:開発工数は開発規模序盤で上昇し、停滞する
エ:開発工数は開発規模の拡大に伴って、開発工数が指数関数的に増大する
答え
エ
開発規模が増えること開発にかかわる要因が増え、情報の伝達や要員の管理に多くの時間がかかるようになるため、一般的にソフトウェアは開発規模の拡大に伴って、開発工数が指数関数的に増大する。
㉘サービスの運用
データ管理者(DA)とデータベース管理者(DBA)を別々に任命した場合のDAの役割として,適切なものはどれか。
ア:業務データ量の増加傾向を把握し,ディスク装置の増設などを計画し実施する。
イ:システム開発の設計工程では,主に論理データベース設計を行い,データ項目を管理し標準化する。
ウ:システム開発のテスト工程では,主にパフォーマンスチューニングを担当する。
エ:システム障害が発生した場合には,データの復旧や整合性のチェックなどを行う。
答え
イ:システム開発の設計工程では,主に論理データベース設計を行い,データ項目を管理し標準化する。
データ管理者(DA:Data Administrator):業務の実世界から概念設計、システム化の範囲で論理設計などデータそのものの管理を行う。
データベース管理者(DBA:DataBase Administrator):DAが設計した論理データモデルから物理設計を行い、データベースを構築したり、構築後のデータベースの運用設計および運用保守などデータベースの管理を行う
㉙サービスの設計・移行
システムの移行方式のうち,パイロット移行方式について説明したものはどれか。
ア:機能的に閉じたサブシステム単位に,短期間で順次移行していくので,運用部門の負荷が少なく,問題が発生しても当該サブシステム内に抑えることができる。
イ:限定した部門で新システムを導入・観察した後にほかの全部門を移行するので,移行に関する問題が発生しても影響範囲を局所化できる。
ウ:新・旧両システム分のリソースを用意し,並行稼動させるので,新システムで問題が発生しても業務への影響を最小にできる。
エ:ほかの移行方式に比べると移行期間は短くできるが,事前に全部門との間で詳細な計画を立てるとともに,新システムに高い信頼性が要求される。
答え
イ:限定した部門で新システムを導入・観察した後にほかの全部門を移行するので,移行に関する問題が発生しても影響範囲を局所化できる。
パイロット移行方式:すべての部門を同時に新システムに切り替えるのではなく、まず限定的な部門だけに新システムを導入し、その運用状況や移行経験を生かして全体的なシステムの移行につなげていく方式
順次移行方式:機能的に閉じたサブシステム単位に、短期間で順次移行していくため、運用部門の負荷が少なく、問題が発生しても当該サブシステム内に抑えることができる
並列運用移行方式:新・旧両システム分のリソースを用意し、並行稼働させるため、新システムで問題が発生しても業務への影響を最小にできる。
一斉移行方式:ほかの移行方式に比べると移行期間は短くできるが、事前に全部門との間で詳細な計画を立てるとともに、新システムに高い信頼性が要求される。
㉚サービスマネジメントプロセス
ITILにおいて,問題管理でエラーの根本原因を識別した後にRFCを出す対象となるプロセスはどれか。
ア:インシデント管理
イ:可用性管理
ウ:構成管理
エ:変更管理
答え
エ:変更管理
ITIL:問題管理がインシデントの恒久的な原因を突き止め、問題解決のためのシステム変更を変更管理に要求する。
RFC(Request For Change):変更要求のこと
㉛システム監査
システム監査人が行った監査業務の実施記録であり,監査意見表明の根拠となるべき監査証拠,その他関連資料などをまとめたものはどれか。
ア:監査チェックリスト
イ:監査調書
ウ:監査手続書
エ:監査報告書
答え
イ:監査調書
監査調書:実施した監査手続の結果の裏付けとなるため、監査の結論に至った過程がわかるように記述されたその関連資料をまとめた文書のこと
監査チェックリスト:監査を効果的に行うために何をどのように監査するかまとめたもの
監査手順書:時期や範囲などの監査の詳しい方法を記述した文書のこと
監査報告書:実施した監査の対象、実施した監査の概要、保証意見又は助言意見、制約又は除外事項、指摘事項、改善勧告などを監査証跡との関係を示しながら記述した文書のこと
㉜情報システム戦略
エンタープライズアーキテクチャを構成するアプリケーションアーキテクチャについて説明したものはどれか。
ア:業務に必要なデータの内容,データ間の関連や構造などを体系的に示したもの
イ:業務プロセスを支援するシステムの機能や構成などを体系的に示したもの
ウ:情報システムの構築・運用に必要な技術的構成要素を体系的に示したもの
エ:ビジネス戦略に必要な業務プロセスや情報の流れを体系的に示したもの
答え
イ:業務プロセスを支援するシステムの機能や構成などを体系的に示したもの
エンタープライズアーキテクチャ(Enterprise Architecture:EA):社会環境や情報技術の変化に素早く対応できるよう全体最適の観点から業務やシステムをかいぜんする仕組みであり、組織全体として業務プロセスや情報システムの構造、利用する技術などを、整理・体系化したものであり、大企業や政府機関などといった巨大な組織の業務手順・情報システムの標準化、及び組織の最適化を進め、効率の良い組織の運営を図るための方法論
データ・アーキテクチャ:業務に必要なデータの内容、データ間の関連や構造などを体系的に示したもの
テクノロジー・アーキテクチャ:情報システムの構築・運用に必要な技術的構成要素を体系的に示したもの
ビジネス・アーキテクチャ:ビジネス戦略に必要な業務プロセスや情報の流れを体系的に示したもの
㉝システム化計画
ソフトウェアライフサイクルを,企画,要件定義,開発,運用,保守のプロセスに区分したとき,企画プロセスの目的はどれか。
ア:新しい業務のあり方や運用をまとめた上で,業務上実現すべき要件を明らかにすること
イ:事業の目的,目標を達成するために必要なシステムに関係する要求事項の集合とシステム化の方針,及びシステムを実現するための実施計画を得ること
ウ:システムに関する要件について技術的に可能であるかどうかを検証し,システム設計が可能な技術要件に変換すること
エ:システムの仕様を明確化し,それを基にIT化範囲とその機能を具体的に明示すること
答え
イ:事業の目的,目標を達成するために必要なシステムに関係する要求事項の集合とシステム化の方針,及びシステムを実現するための実施計画を得ること
企画プロセス:経営事業の目的、目標を達成するために必要なシステムに関係する要求事項の集合とシステム化の方針、及びシステムを実現するための実施計画を得ること
要件定義プロセス:システムの仕様を明確化し、それを基にIT化範囲とその機能を具体的に明示すること
㉞調達計画・実施
RFIを説明したものはどれか。
ア:サービス提供者と顧客の間で,提供するサービスの内容,品質などに関する保証範囲やペナルティについてあらかじめ契約としてまとめた文書
イ:システム調達に際して,調達側から技術的要件やサービスレベル要件を提示し,ベンダに対して,指定した期限内で効果的な実現策の提案を依頼する文書
ウ:ユーザ要件を実現するために,現在の状況において利用可能な技術・製品,ベンダにおける導入実績など実現手段に関する情報提供をベンダに依頼する文書
エ:要求定義との整合性を図り,ユーザと開発要員及び運用要員の共有物とするために,業務処理の概要,入出力情報の一覧,データフローなどをまとめた文書
答え
ウ:ユーザ要件を実現するために,現在の状況において利用可能な技術・製品,ベンダにおける導入実績など実現手段に関する情報提供をベンダに依頼する文書
RFI(Request for Information):情報提供依頼書のこと
SLA:サービス提供者と顧客との間で、提供するサービスの内容、品質などに関する保証範囲やペナルティについてあらかじめ契約としてまとめられた文書のこと
RFP(Request for Proposal):システム調達に際して、調達側から技術的要件やサービスレベル要件を提示し、ベンダに対して指定した期限内で効果的な実現策の提案を依頼する文書のこと
システム仕様書:要求定義との整合性を図り、ユーザと開発要員及び運用要員の共有物とするために、業務処理の概要、入出力情報の一覧、データフローなどをまとめた文書のこと
㉟調達計画・実施
"システム管理基準"によれば,調達の要求事項に含まれる運用業務の要員スキルはどれか。
ア:業務と情報システムのあるべき姿を明確にし,情報システムの設計ができる。
イ:情報システムに対する変更要求を理解し,対応事項の抽出ができる。
ウ:情報処理全体の体系を理解し,障害などの異常処理に対する判断ができる。
エ:テスト環境の下で,現行情報システムのプログラムのデータの変更ができる。
答え
ウ:情報処理全体の体系を理解し,障害などの異常処理に対する判断ができる。
開発業務を行う要員:業務と情報システムのあるべき姿を明確にし、情報システムの設計ができる。
保守業務を行う要員:情報システムに対する変更要求を理解し、対応事項の抽出ができる。
運用業務を行う要員:情報処理全体の体系を理解し、障害などの異常処理に対する判断ができる。
保守業務を行う要員:テスト環境の下で、現行情報システムのプログラムのデータの変更ができる。
㊱技術開発戦略の立案
ラディカルイノベーションの説明として,適切なものはどれか。
ア:革新的な新製品を開発するといった,製品そのものに関する技術革新である。
イ:既存製品の細かな部品改良を積み重ねる技術革新である。
ウ:経営構造の全面的な変革を必要とする技術革新である。
エ:研究開発過程,製造工程,及び物流過程の技術革新である。
答え
ウ:経営構造の全面的な変革を必要とする技術革新である。
ラディカルイノベーション:ラディカルとは根本的な、徹底的なという意味
プロダクトイノベーション:革新的な新製品を開発するといった、製品そのものに関する技術革新
インクリメンタルイノベーション:既存製品の細かな部品改良を積み重ねる技術革新
プロセスイノベーション:研究開発過程、製造工程、及び物流過程の技術革新
㊲e-ビジネス
電子自治体において,GtoBに該当するものはどれか。
ア:自治体内で電子決済や電子公文書管理を行う。
イ:自治体の利用する物品や資材の電子調達,電子入札を行う。
ウ:住民基本台帳ネットワークによって,自治体間で住民票データを送受信する。
エ:住民票や戸籍謄本,婚姻届,パスポートなどを電子申請する。
答え
イ:自治体の利用する物品や資材の電子調達,電子入札を行う。
GtoBは、自治体が企業に部品や資材の発注を行う取引のこと
㊳会計・財務
表の条件で喫茶店を開業したい。月10万円の利益を出すためには,1客席当たり1日何人の客が必要か。
客1人当たりの売上高 | 500円 |
客1人当たりの変動費 | 100円 |
固定費 | 300000円/月 |
1か月の営業日数 | 20日 |
客席数 | 10席 |
ア:3.75
イ:4
ウ:4.2
エ:5
答え
エ:5
利益は、売上高ー費用で求められる。来客数xを使った式では
100000=500x-(300000+100x)
x=1000/月
来客数50/日
席は10席のため
1日1席5人となる
- 最終更新:2017-09-19 21:50:15